2012年04月09日

1986年の残照 令嬢 16

 パーティー会場には参加者が集まってきた。バーカウンターの近くには大きなテーブルが容易されオードブルが並べられていた。人々はそれぞれ丸テーブルを囲んだり、テーブルの無いところでも人の輪を作りながら、歓談していた。早坂と笙院のテーブルにも何人か見知らぬ参加者が集まって来た。すぐ隣ではもう顔を赤らめた年配の男二人が株や土地取引の話をしていた。二人はどうも中小企業の経営者のようだった。

「いやー、日本経済もたいへんだね」
「空洞化で、どうなっちゃうのか」
「これからは物作りはダメだ。それよりもカネでカネを稼ぐ方法に移らないといかんよ」
「金融緩和でマネーを大量に市場に流しているからね」
「国内の経済が厳しいからといって当局はマネーを供給してるんだけどさ、いったいそんなカネどこで使うんだってことよ」
「そりゃー、あんた、お姉ちゃんのところだよ」
 こう一人が言うと二人は顔を見合わせて笑った。



posted by 論虚空 at 06:38| 1986年の残照 5章 令嬢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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